クドア食中毒は、ヒラメなどの魚の筋肉に寄生する粘液胞子虫クドアによるもので、2000年頃から報告されるようになった新規の食中毒です。2014年1〜4月、7件のクドア食中毒が発生し、92人が発症したことが報告されており、いずれもヒラメ刺身を食べた後の発症でした。
それまで、ヒラメやマグロなどを生食した数時間後に発症する激しい下痢・嘔吐は、“謎の食中毒”とされていました。症状は一過性で、数時間程度で改善します。死亡例の報告はなく、予後が良好なことも特徴のひとつです。食中毒の原因として一般的なノロウイルスや細菌などの既知の病原物質が同定できなかったため、そう呼ばれていました。
クドアはヒトには無害な魚の寄生虫と考えられており、それが2000年以降に西日本を中心に生じるようになった“謎の食中毒”の原因として、2010年に同定されました(クドアの一種:Kudoa septempunctata)。症状が一過性であることから、クドア胞子が長期間人体にとどまる可能性は低いとも考えられています。
以前からクドアは魚の寄生虫として知られていましたが、人体に害を生じることはなく、そのため毒性のある新種が、ヒラメの養殖場を中心に広まり、食中毒の原因となったと考えられています。
クドアは、マイナス15〜20℃で4時間以上保管、もしくは中心温度が75℃となるように5分以上加熱することで失活します。ただし、ヒラメの刺身は冷凍すると味が落ち商品価値がなくなるため、冷凍による食中毒予防は困難といえます。
クドアが食中毒の原因であることが明らかになったことを受け、厚生労働省が2011年6月、クドアを原因とする嘔吐・下痢症を食中毒として取り上げるよう通知、同年10月には、輸入ヒラメの検疫を強化することも求められました。水産庁も、国内のヒラメ養殖場・種苗生産施設に対して、クドア食中毒防止の対策を呼び掛け2013年からは、食品衛生法による食中毒原因物質として「寄生虫−クドア」として報告されることになり、実数の把握が容易になっています。
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