アイチウイルス は、1989年に愛知県衛生研究所でカキ(牡蠣)が原因と推定された胃腸炎の集団発生事例から発見された、直径30nmのエンベロープのないプラス鎖1本鎖RNAウイルスです。ピコルナウイルス科の新しい属であるコブウイルス属(コブは日本語で、粒子表面がごつごつしていることに由来)に属します。日本での検出頻度は高くありませんが、アジアの発展途上国の小児の下痢便から検出されることがあり、胃腸炎を起こすウイルスであると考えられています。
血清型は1つでA、B型2種類の遺伝子型に分類されますが、2008年にC型の存在が報告されました。また、下水中にはA、B、Cいずれの型にも属さない独立した遺伝子が検出されており、血清型の異なるウイルスの存在が予測されています。コブウイルス属には、他にウシ由来のウシコブウイルス種があります。
アイチウイルスが分離され、ペア血清が得られた6事例の食中毒においては、患者56名中24名に有意な抗体上昇が認められています。抗体応答のあった24名の症状は、吐き気が91.7%、腹痛が83.3%、嘔吐が70.8%、下痢および発熱が各々58.3%でした。回復期血清中のIgM抗体が陽性で初感染と考えられた7名は全員が腹痛・吐き気・発熱を訴え、6名が嘔吐をしていました。アイチウイルスの年齢別抗体保有率は、4歳以下で7.2%と低いが、5〜9歳で17.8%、10〜14歳で31.9%と加齢とともに上昇し、30歳で約80%となります。サル、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコからはアイチウイルス抗体は検出されていません。下水処理場に流入する下水からは調査を行った全ての年に年間を通じて検出されており、わが国においてもヒトの間で常に感染が繰り返されていると推測されています。
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