サポウイルス は直径27〜32nmのエンベロープのないプラス鎖1本鎖RNAウイルスであり、カリシウイルス科に属しています。陰性染色電子顕微鏡下の観察によって、粒子表面に“ダビデの星状”と形容される杯(ラテン語でカリクス、ウイルス科の由来)状のくぼみがみられます。サポウイルスのプロトタイプであるサッポロウイルスは、札幌医科大学のChibaらにより1979年に発見され、ウイルス名は札幌(サッポロ)に由来します。サポウイルスはゲノムの多様性からG1〜G5の5つのゲノグループに分類されていますが、VPI蛋白質の抗原性の違いと関連しているとみられています。ブタ由来のG3以外がヒトに感染し、G1とG4が大半を占めています。
サポウイルスは一般的に小児の急性胃腸炎の5%未満の原因であり、その分布は世界的です。ケニアでの3年間にわたる研究によると、6歳未満の急性胃腸炎の外来患者の2.2%に発見されましたが、70〜90%の乳幼児と大人はサポウイルスの抗体が陽性でした。すなわち、不顕性あるいは医療機関受診を必要としない軽症例が多いと考えられます。事実、ロタウイルスやノロウイルスによる胃腸炎に比べて嘔吐や発熱などの症状が少なく、脱水の程度も軽いことが多いと報告されています。
サポウイルス胃腸炎は年間を通じて発生しますが、温帯地方では冬季に多く発生する傾向があります。サポウイルスの感染伝播は糞口経路ですが、サポウイルスがウイルス性食中毒の原因となることは極めて稀です。
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