エルシニア属菌 は、グラム陰性の桿菌で現在11菌種が分類されています。ヒトに対して病原性を示すのはYersinia pestis 、Yersinia pseudotuberculosis およびYersinia enterocolitica です。一般に エルシニア 感染症といえば、下痢 腹痛 などの 食中毒 様症状を主徴とするY.enterocolitica とY.pseudotuberculosis による感染症をいいます。
Y.enterocolitica とY.pseudotuberculosis の感染サイクルは自然界ではほぼ同様であると考えられています。野生動物における感染あるいは発症は、健康保菌獣の糞便とともに排出された菌が感染源となり、汚染された飼料を感受性動物が摂取した場合に感染・発症が自然に繰り返されます。
ヒトの感染様式も動物と同じであり、保菌獣から直接または飲食物を介して経口的に感染します。これまでの動物における保菌実態から、ブタ、イヌ、ネコ、ネズミが最も重要とされています。
Y.enterocolitica 感染症の臨床症状は、下痢や腹痛をともなう発熱疾患から敗血症まで多彩です。患者の年齢と症状にはある程度相関がみられ、乳幼児では下痢症が主体で、幼少児では回腸末端炎、虫垂炎、腸間膜リンパ節炎が多くなり、さらに年齢が高くなるにしたがって関節炎などが加わって、より複雑な症状がみられるようになります。発熱の頻度は高いが、高熱者は少なく、症状の中で最も多いのが腹痛です。特に、右下腹部痛と嘔気・嘔吐から虫垂炎症状を呈することが多く、 虫垂炎、終末回腸炎、腸間膜リンパ節炎などと診断される場合もあります。腸管感染であるにもかかわらず、頭痛、咳、咽頭痛などの感冒様症状を伴うことも多く、また発疹、紅斑、莓舌などの症状を示すこともあります。
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