腸チフス、パラチフス感染症は人に限って起こり、患者や症状の無い感染者の便、尿により汚染された食品や水を介して、口から入ることによって感染します(経口感染)。まれに接触感染も起こります。感染するのに必要な菌量が他のサルモネラによる胃腸炎に比べて少量でも発病するといわれています。原因になった食品の例として、カキ等の貝類の生食や豆腐、サラダなどがあります。
腸チフス・パラチフスは一般のサルモネラ感染症とは区別され、チフス性疾患と総称されます。腸チフス・パラチフスは、チフス菌・パラチフスA菌の網内系マクロファージ内増殖に伴う菌血症と、腸管の局所の病変を特徴とする疾患です。
わが国の法律上の起因菌はそれぞれ腸チフスはSalmonella Typhi, パラチフスSalmonellaParatyphi A です。
チフス菌、パラチフスA 菌はグラム陰性桿菌で周毛性鞭毛を持ち、運動性があります。両菌は宿主特異性があり、ヒトにのみ感染。ヒトの糞便で汚染された食物や水が疾患を媒介します。感染源がヒトに限られているため、衛生水準の向上とともに減少しています。
臨床症状
腸チフスとパラチフスの臨床症状はほとんど同じですが、パラチフスは腸チフスに比較して一般的に症状は軽いとされています。通常10〜14 日の潜伏期の後に発熱で発症します。
第1病期には段階的に体温が39〜40℃にまで上昇し、3主徴である比較的徐脈、バラ疹、脾腫が出現します。第2病期は極期であり、40℃代の稽留熱、下痢または便秘を呈し、重症な場合には意識障害も引き起こす。第3病期には徐々に解熱し、弛張熱、腸出血をおこします。腸出血に引き続いて、2〜3%の患者には腸穿孔がみられます。第4病期には解熱し、回復に向かいます。
生化学的検査では、急性期には白血球は軽度に減少し、3,000/mm3 近くまで低下します。GOT、GPTは軽度上昇(200 IU/l 程度)。LDHも中程度に上昇し、1,000 IU/l 以上となることもあります。
治療
腸チフス、パラチフスには抗菌薬の投与による治療が行われます。現在ではニューキノロン系抗菌薬が第一選択薬として使われています。
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