旅行者下痢症は、海外旅行者が旅行中または帰国後に、嘔気・嘔吐・鼓腸・しぶり腹・粘血便などの消化器症状とともに下痢が1日に3回以上みられる場合をいいます。感染の機会から発症までの期間が2週間以内の場合を急性下痢症、それ以上続く場合を遷延性または慢性下痢症に分類します。
旅行者下痢症は、滞在地や現地での行動形態により罹患率に差があり、滞在地では東南アジア・中近東・アフリカ・中南米などがハイリスク地域に該当し、行動形態ではバックパッカーやボランティア活動など現地の住民との接触機会が濃厚であるほど罹患率は高くなります。
旅行中にみられる場合と帰国後にみられる場合にも違いがあります。旅行中にみられる場合は、潜伏期間が短い細菌やウイルス感染によるものが多く、ときに発熱や血便などの症状を伴うことがありますが、比較的軽症で医療機関を受診せず回復する場合もあります。一方で帰国後にみられる場合は、細菌やウイルスによるものも少なくないのですが、数日間持続する下痢・腹部の違和感などの症状が続き、抗菌薬を使用しても改善しないことから医療機関を受診することが多いようです。この場合、起因菌の検出が困難であることから、病原体診断がされないまま経過観察のみで治療を終わることもあります。病原体の検出頻度は、地域差はありますが、細菌性が80〜90%、ウイルス性が5〜8%、寄生虫性が10%程度です。
最近では、遷延する旅行者下痢症の原因として感染後過敏性腸症候群(post infectious irritable bowel syndrome:PI-IBS)が注目されています。
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