蛋白漏出性胃腸症は、血液中の蛋白質、特にアルブミンが消化管内に異常にもれ出ることによって、低蛋白血症をおこす病気です。
原因としては腸リンパ系異常、毛細血管透過性の亢進、胃腸管粘膜上皮の異常や潰瘍などが蛋白漏出をおこすと考えられています。
蛋白漏出性胃腸症の原因疾患は炎症性腸疾患、腸リンパ管拡張症、アレルギー性胃腸症、腫瘍、腸管感染症、リウマチ疾患、心疾患などがあり、原因不明のものもあります。
症状
顔や脚にむくみがみられ、進行すると腹水や胸水を併発します。消化器症状として下痢・悪心・嘔吐・腹痛および食欲不振などが認められます。小児では成人よりも下痢を伴うことが多く、とくに脂肪便を認めることがあります。時として多量の蛋白を含む場合があります。便性は軟便から水様便までさまざまですが、その発生機序については解明されていません。
成長期に本症を発症した難治あるいは重症な症例、診断の遅れた症例、あるいは内分泌機能異常を伴う症例などでは、発育障害を伴うことがあります。また、低カルシウム血症および低アルブミン血症によりテタニー症状として、けいれん、感覚異常、手足痙縮などが認められます。
診断と治療
便中α1-アンチトリプシンの定量と腸管クリアランスの測定、および99mTc標識ヒト血清アルブミン(99mTc-HSA)を用いた消化管シンチグラフィーなどが小児の蛋白漏出性胃腸症の診断として用いられています。鑑別疾患としては、摂食障害、吸収不全症候群、ネフローゼ症候群、肝不全、慢性炎症性疾患、リンパ管異常などがあります。
原因疾患の治療をおこなうとともに、高エネルギー・高たんぱく・低脂肪の食事療法もおこないます。むくみに対しては、利尿薬やアルブミン製剤を服用します。アレルギーや炎症性腸疾患には副腎皮質ホルモン剤が有効な場合があります。
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