憩室(けいしつ)は大腸の壁の一部が外へ袋状に飛び出しているものです。通常は無症状で大腸検査で偶然発見されることも多く、原則として無症状の人は治療の必要はありません。便がつまったりして炎症を起こすと(大腸憩室炎)腹痛や発熱、下血をきたします。ごくまれに急に大出血しショック状態をおこすことがあります。
憩室には先天的なものと後天的なものがあり、ほとんどは後天性です。便秘が続くと腸の筋肉が厚くなって腸内部の圧が上がります。血管が腸の壁を貫く場所は筋肉がなく弱いので、粘膜が反転脱出します。食事の欧米化(食事内の繊維成分の減少)が一つの原因で、近年増えている病気です。
症状
憩室の好発部位は上行結腸とS状結腸です。上行結腸は右腹部、S状結腸は左下腹部が痛みます。急に下腹部が痛くなり、下痢になり、最初は周期的に下腹部がしぼるだけだったが、時間がたつと熱が出てふるえ、赤黒い便が出るというのが典型な症状です。
炎症が軽いときは、腹部が軽く周期的に痛み、下痢や便秘をします。炎症が進むと、腹痛に加えて発熱や血便がでます。ときに憩室内の動脈が破れて大出血することがあります。
さらに炎症がひどくなると、憩室に穴があき腹膜炎や結腸周囲炎をおこします。S状結腸では特に穴が空きやすく、血圧が下がり重症化しやすくなります。
検査と診断
大腸憩室症の診断には、注腸造影X線検査が最も有用です。大腸内視鏡検査でも、粘膜面に円形または楕円形のくぼみとして認められますが、憩室そのものの診断能力は注腸造影よりも劣ります。しかし、合併症として出血を伴う場合は大腸内視鏡検査が第一選択です。
また、大量出血では血管造影が必要となります。憩室炎の合併時には、腹部超音波、CT、MRIなどの検査が有用です。
治療
無症状であれば、とくに治療の必要はありません。腸運動異常に基づく症状がある時は、薬物の投与を行います。憩室炎を合併した場合は、入院のうえ、絶食、輸液、抗生剤の投与が必要です。
憩室出血の多くはこのような治療で止血しますが、大量出血が持続する場合は、血管造影や内視鏡検査施行時に止血術が行われます。
保存的治療で軽快しない場合、再発を繰り返す場合、腹膜炎や腸閉塞の場合は外科的治療が必要になります。
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