食中毒の主な症状とよくある誤解

病原性微生物による食中毒の主な症状には以下のものがあります。

食中毒の主な症状とよくある誤解

病原性微生物による食中毒の主な症状には以下のものがあります。
発熱:基本的に病原性微生物または自己の組織に対する免疫反応によって起こります。したがって毒素型の食中毒(体外で産生する場合も体内で産生する場合いずれでも)では発熱は認められません。一方、潰瘍性大腸炎などの初期では発熱と下痢という食中毒に似た症状がみられます。
水様性下痢症:便中の水分は上位空腸から回腸で大半が吸収されます。そのため、これらの部位を標的とする病原性微生物関連の食中毒ではこのような下痢症状になります。
血便:通常は粘膜の炎症により腸管粘膜が破綻することで出血します。非常に重要な例外としては腸管出血性大腸菌の出血毒によるものが挙げられます。

食中毒についての誤解は病原微生物性、非病原微生物性を問わず多くあります。病歴情報から除外してしまわないように代表的な誤解を示します。
1)食べた人はみんな発症する
病原微生物性のものであっても個人によってバラつきがあります。一緒に食べた人が大丈夫だったから食中毒ではないとするのは危険です。
2)嘔吐・下痢でなければ食中毒ではない
病原微生物食中毒であっても腸チフスは発熱のみの菌血症が大半です。ボツリヌス毒素によるものは中枢神経系麻痺が前面にでます。
3)加熱すれば大丈夫
毒素を産生した後で、かつ耐熱性毒素であれば食中毒を起こします。また、芽胞状態をとる細菌は芽胞状態で耐熱性です。
4)冷蔵庫に保管しておけば大丈夫
Listeria monocytogenes(リステリア・モノサイトゲネス)は低温増殖性食中毒菌で冷蔵庫の低温で増殖します。

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