プロバイオティクス(probiotics)は「十分な量が投与された場合、宿主に健康上の利益をもたらす生きた微生物」と定義されます。また、上部消化管で分解されず、腸管内で生体に利益をもたらす自律性微生物の増殖を促進させるプレバイオティクス(prebiotics)とプロバイオティクスを合わせたものをシンバイオティクス(synbiotics)と呼びます。
プロバイオティクスは生体への様々な利益的作用を有していることから、臨床医学への応用が行われ、腸管感染症、炎症性腸疾患、ヘリコバクター・ピロリ感染症、尿路感染症、細菌性膣炎、呼吸器感染症などに対する臨床効果の研究成果が報告されています。
臨床治験をふまえて、プロバイオティクスの有用性が明らかに認められている代表的な腸管感染症に抗菌薬関連下痢症(antibiotic associated diarrhea:AAD)とロタウイルス下痢症があります。
AADの主因は偏性嫌気性グラム陽性桿菌のClostridiun difficileであり、AADの約半数は抗菌薬投与により腸内フローラが攪乱され、引き続き起こるC.difficileの異常増殖とトキシンAおよびBの産生に起因しています。
AADでは、乳酸桿菌(Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus bularicus、Lactobacillus rhamnosus)、腸球菌(Enterococcus faecium)、Clostridium butyricum、Saccharomyces boulardiiなどを用いたプロバイオティクスの経口投与により発生率の低下と下痢持続日数の短縮化が明らかになりました。
また、ロタウイルス感染症に関してはL.rhamnosus GG、Bifidobacterium infantis、L.acidophilus、L.ulgaricus、L.delbrueckii、L.reuteri、Streptococcus thermophilus、Bacillus subtilis、S.boulardiiのプロバイオティクス投与により、ロタウイルス感染症患児の下痢持続日数短縮が示されています。
旅行者下痢症は、enterotoxigenic Eschrichia coli(ETEC)、Campylobacter、Salmonella、shigella、ロタウイルス、ノロウイルス、ランブル鞭毛虫などが原因で多くは軽症で自然治癒しますが、まれに重症化した場合のプロバイオティクスによる治療や予防効果報告もあります。
▽感染症に対するプロバイオティクスの効果 のキーワード
▽次の記事、前の記事
当サイトのRSS
新着アイテム
ジャンル
Copyright (C) 2008
by 下痢(げり)便秘(べんぴ)おなかSOSドットコム