経口補水塩(けいこうほすいえんOral Rehydration Salt:ORS)は主に下痢、嘔吐、発熱等による脱水症状の治療に用いられます。食塩とブドウ糖を混合したもので、これを水に溶かして飲用する事で小腸において水分の吸収が行われます。
下痢、嘔吐、発熱といった症状は、これが長期間に及んだりあるいは頻度が高くなった場合には脱水症状を引き起こし、小児や老人では死に至る事もあります。病院では主に点滴による水分補給が行われますが、手技の簡便さから経口補水塩による治療が普及しつつあります。
小腸でナトリウムイオンとブドウ糖が吸収される際、これに伴って水も吸収されることから、経口で水を補給するためには、糖と食塩を同時に与える方が水単独で与えるよりも効率的とされています。古くから病人食とされている重湯はデンプン(ブドウ糖の重合体)を多く含むコメを煮て、少量の食塩を加えた食品で水分補給という点で理にかなった食品であるといえます。ブドウ糖濃度が2〜2.5%程度でブドウ糖とナトリウムのモル比が1:1の場合に、水の吸収効率は最も高まります。また浸透圧は、血液の浸透圧(270mOsm/L)よりもやや低い200-250mOSm/Lが良いとされています。
熱中症などの緊急時における簡便なORSの作り方として、水1リットルに対して砂糖小さじ4、塩小さじ半分で作ることが出来ます。スティックシュガー2本、塩1つまみぐらいの量です。
こうした簡便なORSに重炭酸を加えることで、水の吸収効率はさらに高まるため、その前駆物質としてクエン酸を加えます。これは市販のスポーツドリンクの内容物に似ていますが、ORSの方がナトリウム量が多い組成となっています。実際、乳幼児の脱水時にスポーツドリンクを与えると低ナトリウム血症から水中毒を引き起こすことが知られています。現在日本では、厚生労働省認可の個別評価型病者用食品としてORS用の飲料が発売されており、調剤薬局や病院の売店等で販売されています。
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