セレウス菌 感染症は殆どが 食中毒 の形をとり、嘔吐型と下痢型があります。わが国では1960年代以降、セレウス菌 食中毒 が報告されており、そのほとんどが嘔吐型です。
セレウス菌 食中毒 の症状は嘔吐型と下痢型で異なります。嘔吐型は食品内で産生された毒素によって発症する毒素型食中毒で、潜伏時間は30分〜5時間で主訴は嘔吐です。1987年に東京で発生した事例での患者318名の症状発現状況を見ると、主な症状は嘔吐、吐き気、下痢、腹痛であり、いずれも軽症でした。一方、下痢型は原因食品内で増えた菌が喫食され、腸管内での増殖とともに産生された毒素によって起こる感染型(生体内毒素型)であり、潜伏時間は6〜15時間と長く、下痢が主症状です。
Bacillus属のセレウス菌(B. cereus)は100℃30分の加熱にも耐える芽胞の形で土壌などを中心に自然環境に広く分布し、野菜や穀物などの農産物を汚染します。
セレウス菌は溶血毒をはじめ、いくつかの毒素を産生することが知られていますが、食中毒に関係するのは嘔吐毒と下痢毒です。嘔吐毒本体はCereulideと呼ばれる環状ペプチドで、消化酵素や熱、酸・アルカリにも安定であるため、食品中で産生された毒素で中毒が発現します。一方、下痢毒本体はタンパク質であり、ペプシンやトリプシンなどの酵素や、60℃以上の加熱、pH4以下の酸性条件などによって失活することが知られています。したがって、原因食品中に産生された毒素は胃酸や消化酵素により不活化されるので、下痢は起こさないと考えられています。
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