壁側腹膜や腸間膜・横隔膜には、脳・脊髄性の知覚神経が分布しています。この神経には知覚受容体が備わっており、熱や摩擦といった物理的刺激やヒスタミン・セロトニン・胃腸液・血液などによる化学刺激を感受します。この知覚神経の神経線維は、太い有髄性脳・脊髄神経求心性線維です。脊髄後根神経節を経て脊髄視床路を上行して視床に達し、ニューロンを変えて大脳皮質に至ります。
腹部内蔵に大きな外力が加わったり、消化管穿孔によって消化液が腹腔内に漏れ出したりすると、この知覚受容体にインパルスが発生し、体性痛が生じます。
体性痛とは、自身に深刻な侵襲が加わったことを脳・脊髄神経に直接伝達する警告であり、内蔵痛とは性質が異なります。したがって体性痛は持続する鋭い痛み・激痛であることが多く、痛みを感じる部位も比較的明瞭です。筋性防御や反跳痛といった腹膜刺激症状を呈し、吐き気・嘔吐などの自律神経症状を伴うことはまれです。体を動かす事によって痛みは憎悪することが多く、うずくまって動けないことがあります。この痛みに対しては鎮痛剤が有効で、多くは急性腹症として緊急手術の適応となります。
実際には、内蔵痛と体性痛の鑑別は困難で、内蔵痛に始まり体性痛に移行し、さらに混合痛や関連痛を生じたりすることもあり、明確に区別することが困難な場合が多くあります。
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