プロバイオティクスの健康予防効果とは

プロバイオティクスは、「ヒトに健康効果をもたらす生きた微生物」と定義されます。ヒトの正常な腸内常在菌の維持と調節に重要な機能をもっており、さまざまな機能研究がなされています。

プロバイオティクスの健康予防効果とは

プロバイオティクスは、「ヒトに健康効果をもたらす生きた微生物」と定義されます。ヒトの正常な腸内常在菌の維持と調節に重要な機能をもっており、さまざまな機能研究がなされています。その主な有用機能には以下のようなものがあります。
・科学的に証明されている健康表示
1)ロタウイルス下痢症改善作用
2)抗生物質誘導下痢症改善作用
3)乳糖不耐症軽減作用
4)乳児食餌性アレルギー症軽減作用
5)整腸作用

・ヒト試験による証明が期待される機能
1)発がんリスク低減作用
 発がんと発酵乳の消費量の相関関係を明らかにする疫学的な調査研究の結果、発酵乳の摂取が乳がん、膵臓がんおよび大腸がんなどの発症を軽減しえることが明らかにされてきました。さらに、腺腫および早期がんの大腸腫瘍をもつ患者に乳酸菌製剤を投与したところ再発防止効果が認められたとする報告もあります。
2)免疫能調節作用
 腸内常在菌の液性免疫に及ぼす影響は、プロバイオティクスに含まれる乳酸菌の菌体成分が血行性に、またリンパ行性に免疫組織を刺激し、無菌動物と通常動物を比べた時、通常動物で網内系の発達がよく、抗原刺激に対する反応もはやく、末梢マクロファージの抗原消化が迅速で、抗体産生細胞への抗原情報伝達が早いことが明らかにされています。
3)アレルギーの低減作用
家族にアトピー発症歴のある妊婦に出産予定日の2週間前から毎日プロバイオティクス(Lactobacillus rhamnosus GG)を飲用させ、出産後も6か月間、母親と新生児に飲用させた研究では、その後乳児が2歳になるまでアトピー性皮膚炎の発病状況を観察した結果、アトピー性皮膚炎発病率が減少すると報告されています。また、ビフィズス菌BB536入りのヨーグルトを14週間摂取した群では全員、中程度のスギ花粉症症状(くしゃみや鼻水、鼻づまり、鼻のかゆみ、目や喉の自覚症状)が軽減することを認めています。
4)血圧降下作用
5)胃内ピロリ低減作用
 本邦では多くの健常成人の胃内にヘリコバクター・ピロリが常在しており、これが胃潰瘍あるいは胃がんへの発展に寄与していることが社会的な問題になっています。Lactobacillus gasseri OLL2716をヘリコバクター・ピロリに感染している健常成人に8週間投与したところヘリコバクター・ピロリの減数ならびに胃粘膜の炎症像が低下していることが認められています。
6)腸内環境改善(整腸)作用
 食品成分の整腸作用は、プロバイオティクスによる腸内常在菌の構成を変動させて論じられてきました。プロバイオティクスが有する生理機能について、またその機能に関与する物質および機序について詳細に検討した報告は少ないガ、その中でBifidobacuterium lactis LKM12を含むヨーグルトをヒトに摂取させると、腸管組織の成熟に不可欠な因子であることが知られている糞便中のポリアミン量が有意に増加することが認められています。
7)過敏性大腸炎、クローン病および潰瘍性大腸炎の軽減作用
8)Clostridium difficile下痢症の低減作用
9)食餌性コレステロールの低減作用
10)乳児および児童の呼吸器感染症の抑制効果
11)口腔内感染症の低減作用

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